活動レポート

和歌山ブロック例会

2025年11月3日(水)15:30~「ラ・ヴェランダ」(和歌山市) において、26名の参加のもと、和歌山ブロック例会を開催いたしました。
当日は、和歌山県、和歌山市、和歌山産業振興財団からも多数ご参加いただきました。
まず、10月10日に開催された関西NBCフェスタ2025 in 大阪・関西万博の報告として、イベントの様子をまとめたVTRが上映されました。
続いて、株式会社コシダアート代表取締役社長 / 株式会社セーフアップ代表取締役 正木 秀樹様より、「ウェルビーイング実践!従業員のやる気が向上し、安全な現場づくりへ」 をテーマにご講演をいただきました。
その後、会員からの自己紹介を兼ねた会社現況等のスピーチがあり、有意義なひとときとなりました。
【講演内容】
○はじめに - 会社の歩みと安全への意識
同社は元々コミュニケーションデザインを手掛けるデザイン会社であったが、 堺市のブランディングや伊勢神宮おかげ横丁のプロデュースなどを通じ、企業の価値創造に深く関わってきた。
特に、2007年のある案件に際してブランド信頼回復プロジェクトを指揮した経験から、 「安全・安心・信頼」が企業の最も重要な基盤であることを痛感。これを機に、 製品事故や労働災害をゼロにすることを使命として事業を展開している。
○現代の製造現場が抱える課題
厚労省のデータでは、今なお年間12〜13万件の労働災害が発生している。
現場では、人手不足、高い離職率、外国人労働者とのコミュニケーション問題、マニュアルが標準化されず教育が行き届かない、といった課題が山積している。
マネジメントにおいても、従来の一方的に「叱る」指導法から、個々の特性を「褒めて伸ばす」手法への転換(ゲームチェンジ)が求められている。

◎DXを活用したウェルビーイングの実践事例の紹介
○課題
ある製造業では、過去の労働災害を教訓に、DXを活用したウェルビーイングの実践に取り組んだ。
紙ベースの安全管理(危険予知活動など)が形骸化し、現場の大きな負担となっていた。
解決策
・アプリ導入とデータ可視化
スマートフォンアプリを導入して報告業務をデジタル化し、現場の負担を軽減。
収集したデータを可視化することで、安全レベルや従業員の意識をリアルタイムで把握できるようにした。
・現場の声による環境改善
アプリで集まった「工場が暑すぎる」という多くの声に応え、断熱材を施工。
夏は涼しく冬は暖かい、快適な労働環境を実現した。
○ウェルビーイング実践がもたらした成果
一連の取り組みは、無災害継続の達成という安全性の向上だけでなく、従業員のエンゲージメント向上にも大きく貢献。従業員の意識向上は品質改善によるクレーム減少という好循環を生み出しました。さらに、この改善ノウハウ自体を新たなソリューションサービスとして事業化することにも成功している。
○今後の展望と和歌山への提言
・グローバルな潮流: ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム)が改訂され、「ウェルビーイングの向上」が明確に要求事項として盛り込まれるなど、従業員の心身の健康と幸福を重視する経営は国際標準になりつつある。
・非財務情報の価値: 金融庁も、企業のサステナビリティ情報として「人的資本」など非財務情報の開示を求めている。従業員の安全や健康、働きがいといったデータは、企業の持続可能性を示す重要な価値となる。
○「和歌山ウェルビーイング立県」へ
和歌山県は「ウェルビーイング」を県政の柱に掲げている。
イベントだけでなく、県内各企業の現場から労働安全や従業員満足度といった「非財務情報」を可視化しその価値を高めていくことで、和歌山が日本の、ひいては世界の「ビジネスと価値創造の中心」になるポテンシャルを秘めているのではないかと提言され講演を締めくられました。

参加者様の感想 安全管理のDX化が、従業員のエンゲージメント向上に直結するという好循環のモデルに感銘を受けました。
自社でもすぐに実践したいです。
従業員の満足度といった『非財務情報』が、品質向上や企業価値に繋がることをデータで示していただき非常に説得力がありました。
自社の課題解決プロセスを新たなサービスとして事業化するという発想は、まさに目から鱗でした。
ビジネスの可能性を感じました。
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