活動レポート

起業の鉄則研究会

 平成 25 年11月 9 日(土) 14 時から甲南アセット大開ビル別館 5 階会議室にて講師ともに 18名が参加し、本年度第8回目(通算104回目)の起業の鉄則研究会が開催された。 今回は、10月1日に安部総理が来年4月からの消費税増税を決断されたことにともない、起業家の皆様への消費税増税の影響、問題点などの具体的な内容と、国際的な主流になっている法人税減税の動きと、理想的な税金のしくみとは何かを世界的な税体系の事例などを踏まえて研究内容などを知ることができた講義であった。講義終了後も、増税に対する備え、経営上注意すべき点など参加者の皆様の活発な議論が行われた研究会となった。

◆【第1 部】 「消費税って益税?損税?~税率10%時代へ向けて消費税の問題を考える~」
 講師: 沖田税理士事務所 税理士 沖田 康代 氏

・今回の増税は、2014年4月1日以降の取引について、新税率(5%→8%)が適用される。ただし、建物などは完成したものが譲渡される段階で課税される。
・平成27年予定の10%への増税は、景気への影響も配慮して先延ばしされる可能性もある。
・増税に伴う問題点:税は本来、負担能力のある人が払うべきだが、逆進性が増加する。 中小企業者の現状は、消費税分を別口座に管理している事業者は少なく、増税により、実質的に資金繰りが悪化する事業者がさらに増える可能性が高い。滞税問題が深刻化するなど。
・総額表示義務が緩和され、外税表示が認められる。→消費者がかえって、混乱する要因に。
・大企業による中小企業への増税分の転嫁拒否は今回法的な措置(消費税転嫁対策特別措置法)が講じられたが、実際問題として、他社を含めた競争のなかで経営努力を求められた場合、やはり増税分の利益減少になることが予想される。
・はやりで個人輸入をしている人が多いが、消費税の納税義務者である。
・現行の消費税は益税になるケースと損税になるケースがあり、制度設計で改善の余地あり。

◆【第2 部】 「法人税減税について」 講師:関西国際大学 経営学科 准教授 布袋 正樹 氏
・多国籍企業がどこに工場を作り、どこで利益を計上するのかの決定をする際に、自国、海外を含めて、最終的な税引き後利益が最も多くなるような選択を行う。法人税には、国内生産か海外生産か、どこの国にするのかを比較する際に使う平均実効税率(=支払税額/税引き前利益)、投資規模を判断する際に比較する限界実効税率(=(税引き後資本コスト-税引き前資本コスト)/税引き後資本コスト)、収益をどこの国で計上するのかを比較する法定実効税率(=国税+地方税)がある。
・世界的な流れとして、収益力のある企業は、自国からの高い課税を逃れるために他国へ利益を移す動きが広まった。各国は税率を引き下げ、企業を自国へ呼び戻そうとしている。
・法人税率が最も高いのはアメリカ(40.75%)、2位は日本(35.64%)。韓国(24.2%)やイギリス(20%)と比較してかなり高い。この高さが日本国内から海外へ生産現場をシフトさせている。国際競争力の観点から、日本は大胆に法人税率を下げる必要がある。
・しかし、国税と地方税にわけると日本は国税が23.71%、地方税が11.93%と国税は法人地方税がない韓国やイギリスなみ。
・日本の地方税における法人税のウエイトは、都道府県で21.9%、市町村で9.9%と高い。
・望ましい地方税の財源としては、税収が安定、課税ベースが均一、住民の責任などの観点からみると、住民税と土地に対する固定資産税と地方消費税。
・消費税率は今後も上昇傾向になるだろう。

 終了後、近くの料理屋「雄司」にて食事会と歓談がもたれた。この懇親会では、日常業務での税金にまつわる話や、中小企業者が直面する経営課題、facebookの活用法など率直に意見交換。どの方向に向かうべきかなど今後の指針のヒントを得ることも多い。次回は12月14日予定。

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